椎名林檎 (Sheena Ringo)
獣ゆく細道 (The Narrow Way)
[椎名林檎と宮本浩次「獣ゆく細道」歌詞]

この世は無常 皆さん分つてゐるのさ
誰もが移ろふ さう絶え間ない流れに
ただ右往左往してゐる

いつも通り お決まりの道に潜むでゐるあきのよる
着脹れして生き乍ら死んぢやあゐまいかとふと訝る
飼馴らしてゐるやうで飼殺してゐるんぢやあないか
自分自身の才能を あたまとからだ、丸で食ひ違ふ
人間たる前の単に率直な感度を頼つてゐたいと思ふ

さう本性は獣 丸腰の命をいま野放しに突走らうぜ
行く先はこと切れる場所 大自然としていざ行かう

そつと立ち入るはじめての道に震へてふゆを覚える
紛れたくて足並揃へて安心してゐた昨日に恥ぢ入る
気遣つてゐるやうで気遣わせてゐるんぢやあ 厭だ
自分犠牲の振りして 御為倒しか、とんだかまとゝ
謙遜する前の単に率直な態度を誇つてゐたいと思ふ

さう本性は獣 悴むだ命でこそ成遂げた結果が全て
孤独とは言い換へりやあ自由 黙つて遠くへ行かう

本物か贋品かなんて無意味 能書きはまう結構です
幸か不幸かさへも勝敗さへも当人だけに意味がある
無けなしの命がひとつ だうせなら使う果たさうぜ
かなしみが覆ひ被さらうと抱きかゝへて行くまでさ
借りものゝ命がひとつ 厚かましく使ひ込むで返せ
さあ貪れ笑ひ飛ばすのさ誰も通れぬ程狭き道をゆけ